NO.2へ
NO.1へ
HOME OF HOMEPAGE へ戻る
六花TOPに戻る
ロシヤ極東ハバーロフスク市在住  岡田和也 Kадзуя_Oкада

ロシヤ極東ハバーロフスク市在住 岡田和也

 

 今年もあとほんの少し。久田さんはどこかで爽やかにうつつをぬかしておられますか。後日郵送くださった荒川洋治さんの全詩集、やっぱり荷物になってしまうので、読めるだけ読んで実家に置いていきました。ごめんなさい。今度の帰省のときにまた楽しませていただきます。手元にある19861120日思潮社発行の現代詩読本『現代詩の展望-戦後史再読』の現代詩代表作100選に、荒川さんの『見付のみどりに』が収められています。このあいだNHKの国際ラヂオ放送で文芸のお話を聴きましたが、中学三年のときの担任の国語教師と声がそっくりです。余談ですが、何日か前、やはりNHKの朗読のコーナーで、シベリヤからの復員兵とシベリヤに抑留された夫の帰りを子供とともに待つ女の儚い出会いを描いた林芙美子の『ダウンタウン』という作品を感銘ぶかく聴きました。もっと古めかしい作家かと思っていたのですが、現代の作家なのですね。

 昨秋は、お会いできずに残念でした。神保町の居酒屋「酔の助」に高校生から年金生活の方まで歳も仕事もさまざまな30名近い方が集まってくださり、格式ばらずに飾らない人間くさいとても温かな交流のひとときを過ごさせていただきました。翌日の授賞式には露文の先輩がたくさんおられました。井桁先生は用事ですぐに去られてしまいお話しできませんでしたが、二次会では、向かいが松谷さやかさん、隣が三木卓さんでした。三木さんが戦後満洲から引き揚げてこられたときのお話をラヂオで伺いましたと言うと、驚いておられました。それから、多和田葉子さんが群像新人賞を受賞したときに選考委員として「かかとを失くして」を推されたとのことでした。短詩の話になり、私は無題と思っていた安西冬衛の1929年の一行詩「てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた。」に『春』という題のあることを知りました。 

 30日、大掃除のとき、カーチャの母親タマーラの遺品である日本のドーナツ盤が出てきました。いしだあゆみ『白いしあわせ』、五木ひろし『この恋いただきます』、飛柿マチカ『他人同士』、山本リンダ『行きずりの二人』、加藤登紀子『美しき五月のパリ/日暮れにうたう歌』(これはジャケットのみ)・・・ 。タマーラが好きだった越路吹雪の『サン・トワ・マミー』を例の修理したソ連製プレーヤーで聴いていたら、台所でがっしゃーんという音がしました。カーチャが窓を掃除しようとして内側の窓を手まえに開けたとたん、二重窓の小窓のところにのせていたホーローの漬け物入れが落っこちて、窓ガラスが割れたのでした。カーチャがふと母を思い出した一瞬の出来事でした。割れたのが内側の窓ガラスでなによりです。外側だったらどんなに寒いことでしょう。ロシヤは来年より元日から5日までが正月休みとなって、この新春は7日のクリスマスの休日や振り替え休日を含めて10日までずっと休みなのですが、ガラスは年明けに買って嵌めることにして、とりあえずサランラップを張りました。だから、凍てついた空にうかぶ今夜の月が窓越しに心地よくゆがんで見えるのは、飲みすぎのせいではないのです。

 『六花』冬号、元日配信の予定です。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

草々

 

田舎放送局員より




シベリヤ私信(3)2004.12.31

サランラップの窓

Kадзуя_Oкада  岡田和也
シベリヤ私信 NO.3 (31.12.'04)
Часная  корреспонденция  из Сибири































































 














SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送