六花(РИККА)夏(15)号

ハバロフスク日本人会会報    りっか 六花 рикка      2005夏・Vol.15


楽しかったアムール河舟遊び

6月25日、毎夏恒例のアムール河舟遊びが催されました。暑さもほどほどで、蚊やブヨもたいへんおとなしく、うってつけの日和でした。今年の参加者は、総数87人。会員45人(うち子供2人、1人は3歳以下)非会員42人(うち子供7人、2人は3歳以下)でした。参加された方々から、「中洲からのモーターボートでのクルージングが最高でした」「バーベキューが美味しかったです」「今年はロシヤ人の方もたくさんみえて、お子さん連れの方もいらっしゃり、和やかでとても楽しい集いでした」とのご感想をいただきました。(写真は、前田奉司さん(中列右端)がご提供くださいました。)


ヤクーツクの池田加奈子さんからみなさんへの直筆のお便り

 ハバロフスクのみなさん、ごぶさたしております。サハ共和国に留学している池田です。今年の冬は寒くて、53度をいきました。マイナス50度になると、何もできません。外へ買い物へ行くのさえ骨が折れます。バスはなかなか来ないし、バスを5分待つのも足が氷って死にそうになります。肉を主食にしているロシア人、ヤクート人をバス停で見ると、このバス待ちに堪える為にも人々は肉はかかせないのだなと思います。シャンプーもバス待ちで凍るこの極寒地。家にとじこもるだけ、ある人はうつ病になります。
ヤクートは独自の文化をもっています。劇場。Саха театр。ここではヤクート語で劇が催されています。サハ共和国では2つの国語があります。ロシア語とヤクート語。大学や高等教育になると、ロシア語が必要となりますが、街ではヤクート語が話されています。
町はハバに比べて、日本のような近代的な建物が木造の傾いた家とコントラストになって、ところどころに建ちそびえているのが印象的です。ヤクートの現状を象徴しているように思えます。
太陽は3時になると傾きはじめます。5月の始めは、11時ぐらいまで空はうす暗いです。今5月の中旬になると、今年は夏がはやく来たらしく、夜中の3時も、地平線はオレンジ色の太陽が見えます。まっくらにはならないのです。私にとって、夜になっても日が沈まないのは、気持ちが悪いです。
今ヤクートでも、日本のエキスポで盛りあがっています。ヤクートの歌手、劇団が日本へ公演へ行っています。日本でのエキスポの盛りあがりは、どうでしょうか? みんな、ヤクートにどれだけ関心をもっているでしょうか。私の感じだと、ヤクートでは、テレビでエキスポ特集がくまれたりしています。
日本のイメージは良いです。世界で一番進んでいる国や文化的な国などなど、ハバに比べると、たくさんの外国人がここに研究や旅行におとずれるそうです。私の寮には、オーストラリア人、トルコ人、フランス人、アメリカ人、ドイツ人、韓国人、日本人、ポーランド人、ちょっと前までは、ノルウェー人が住んでいました。それだけ魅力的な独自の文化があるところなのです。
今はハバにいるみなさんのことが恋しいです。どんな環境にでもすぐなじめる私でも、ハバはとても住みやすいところだと思います。みなさんいかがお過しでしょうか。 

5月10日(火)池田加奈子

※編集子の母親は、3月23日にさいたま市で催されたヤクーチアのオロンホー(英雄叙事詩)劇『キース・デビリエ〜太古の響き』を観賞し、たいそう感激しておりました。サハ共和国といえば、今年1月に初めて日本でダイヤモンドのオークションを開催して好評を博したそうですね。ハバーロフスクでは、ヴォロチャーエフスカヤ通り163の在ハバーロフスク極東連邦管区サハ共和国(ヤクーチヤ)常設代表部の1階のショップでいろいろな特産品が売られているほか、わりと最近、レーニン通りにサハのダイヤモンド・ショップ「トゥイマアダ」が開店しました。なお、前号《新聞拾い読み》欄中、「ヤクーツクの首都ヤクーチヤ」は「ヤクーチヤの主都ヤクーツク」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。(編集子)

みちのく説話ブラジボストーク公演

宮城県登米市 鈴木隆彦

 背丈を遥かに越えるほど高く積み上げられた白い雪の壁に挟まれながら、たどり着いたのは岩手県湯田町。今年2月、雪かきボランテアに地域通貨を活かしているということで研修に訪れました。降りしきる吹雪の中、やわらかい雪というより堅い氷にスコップを突き刺し、一人暮らしのお年寄りの家の入り口や窓から雪を削り取っていく作業。汗だくのジャンパー、腰の痛みをねぎらってくれたのは、その家のおばあさんの感謝の言葉であった。
 新緑のゴールデンウィーク。1人で再び湯田町を訪ねた。今回の目的は違う。半世紀以上、地元で劇団「ぶどう座」を自主運営してきた川村光夫さんの会うためである。一見、枯木が歩くような83歳の老人だが、執筆も演出もまだ現役。役場職員から町長選挙落選。大学講師を経てきたという波乱の生涯は、まさに豪雪を糧として物語を生み出してきた静かなしぶとさと重なる。その川村さんの代表作「うたよみざる」が7月にシベリア極東のブラジボストークで上演されるという。日本全国にある猿婿入りの伝説を戯曲化したもの。人手が足りない野良仕事を手伝った猿に自分の娘を嫁にする粗筋である。テーマの人種差別はロシア文化に受け入れやすい。湯田町は国際演劇交流が盛んで、オムスクやブラジボストークとの相互訪問公演の実績がある。今年は現地の役者が演じるという。日程や場所は未確定で申し訳ないが、そちらに在住の方や観光客の皆さんは是非足を運ばれる様、おすすめいたします。
 みちのくの寒村から発信された説話が、日露共同創作の太い手綱になりますように。

ハバーロフスク子供鉄道

ハバーロフスク子供鉄道の夏のシーズンが、5月29日に幕開け。夏中、火、水、金、土の週4日運行。ピオネールスカヤ駅からの発車時刻は、10.00、10.45、11.30、12.15、14.10、14.55、15.40、16.20です。運賃は、片道、大人10ルーブリ、小人5ルーブリ。(2005年5月28日付の新聞「太平洋の星」の情報)

※子供鉄道の始発駅は、カール・マルクス通りをバス停"パーミャトニク・パルチザーナム(パルチザンの記念碑)"付近で空港に向って左に折れて少し行ったところにあります(編集子)。

六花版/HPの森

http://www.expo2005.or.jp/ 愛・地球博のホームページ。 (お断り;掲載が遅れ、すでに終わっておりますので、あしからず;Куда)[サイト自体は残っています]
http://rosianotomo.com/blog-mam/ 「愛・地球博」ロシア館「マーミンカ通信」。ロシア館からの心温まる日記風のレポート。写真もとても素敵です。[あります、素的です]
http://www.ne.jp/asahi/t-oura/expo/sentatsu/t3000.html 落語ファン・ミルクの寄席めぐり&旅のエッセイ「ミルク亭」。ムールマンスクやコーカサスの旅のエッセイも!   
http://www.inpri.jp/ ロシヤ語の登場シーンもあるというハリウッド映画「ザ・インタープリター」。
http://www.vor.ru/japanese.htm ロシヤ国営ラヂオ局「ロシヤの声」日本語放送。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/PECHIKA04-10-29/ 『日露友の会・ペーチカ』
http://www.khabarovsk.ru.emb-japan.go.jp/ 在ハバロフスク日本総領事館。当地の情報満載。
http://hisada.blog3.fc2.com/ 下記のサイトの管理人、Кудаさんのブログ。  
http://hisgan.fc2web.com 「六花」のバックナンバーが読めるサイト。


生活のなかの詩との出会い

◎先日の舟遊びで素敵な音楽会を催してくださった田中猛さんは、今年の冬、当地に移り住まれてから丸10年を迎えられましたとのこと。この節目の年にちなんでご友人のロシヤ人の方々から捧げられた詩を拝見させていただきましたので、拙訳を掲載させていただきます。


◎仕事柄、日本のリスナーへの返信用にときれいな切手をさがすことをふだんから心掛けていますが、これまでヴォロチャーエフスカヤ通りに移転していた記念切手コーナーが中央郵便局に復帰したおかげで、ちょくちょく覘くようになりました。青空、大樹、レオナルド・ダ・ヴィンチの『ウィトルウィウス的人間』、メンデレーエフの周期律表、アンドレーイ・ルブリョーフのイコン『ズヴェニーゴロドの礼式』『救世主』がデザインに使用されていて"自然の叡智"という白いキリル文字が左肩に記されている愛知万博記念小型シート切手(15ルーブリ)は、まだ少しあるようでした。また、小説や映画の『静かなドン』で有名なミハイール・ショーロホフの生誕100周年の記念切手やアムールトラのデザインのロシヤと北朝鮮の共同発行の切手も発行されています。そして、アナグマ、イヌワシ、ビーバー、ロシヤ語で"赤い勲章のリボン"という名まえの蝶がデザインされた自然をテーマとしたロシヤとベラルーシの共同発行の切手には、抒情詩人フョードル・チューッチェフ(1803-1873)の次のような詩が添えられていました。


◎CD店でアニメ映画「チェブラーシカ」のCDを探していたとき、私と店員さんとのやりとりを聞いていた無精ひげの若者が「もしなかったら、おれが歌ってあげるよ」と言ってくれました。


♪"ワニのゲーナの唄"(A.チモフェーエフスキイ作詞 V.シャイーンスキイ作曲)



☆総領事公邸料理人・山下雅司さんの小説「時空の旅人」☆<連載第2回>

第壱章  歪んだ時空


夫、貸します  鈴木宣平著

<地下水脈の歌>

石橋幸は、ぼくらの崇拝者のあいだでは、「タンコ」と呼びかわされている。名前の幸の愛称なのだろうが、ぼくはながいあいだ、彼女の苗字も名前もしらなかった。
 彼女を取り巻いて酒を飲んでいると、いつのまにか朝になって、ぼくらはあわてて家に帰るのだが、彼女がどこからきて、どうしてそこにいるのか聞いたことはない。ときどき、ふっといなくなってしまうのだが、ロシアへでかけたのさ、と噂にきくだけだった。彼女には共産主義者というよりは、アナキストの危険な匂いが漂っていたから、ぼくは、半信半疑だった。
 それからなん年かして、はじめて彼女が採集してきた歌を聞くことができた。それはロシア民謡のように、甘く、せつなく、明るいというようなものではなく、苦い悲しさとそれを吹きとばす哄笑だった。圧制ソ連の地下を流れてきた、ひそやかな、しぶといひびきである。
 出征した兵士や囚人や泥棒やジプシー、それがタンコの主人公たちである。彼らの魂の歌が、いまことさらぼくたちの胸に食いいるのは、きっとおなじ世紀末を生きているからだ。

鎌田慧(ルポライター)

【編集後記】暑中御見舞い申し上げます。昨夏ヤクーチヤへ羽ばたかれ、北国のきびしい冬を越えて夏を迎えられた池田加奈子さんから、心温まる直筆のお手紙が届きました。そういえば、先日、ヤクーチヤでのチュルク暦の真夏のお正月の模様がテレヴィで流れていました。草原の緑と馬乳酒の白さがとても印象的でした。さて、次号の原稿の締切りは、2005年9月末日です。イヴェント&暮らしの情報、離任着任メッセージ、詩歌やエッセイなど、お気軽に岡田までお寄せください。どうぞ宜しくお願いいたします。(職場32-45-46自宅п彦ax21-41-07/メールokada@pop.redcom.ru) 
※記事中、すでに失効(消え去りし、貴重な情報が数多ありますが、全て責任は呆けていたКудаにあります。


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